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市民インタビュー

大妻女子大学「お茶大学」校長 大森正司先生

2020/12/06

「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」とうたわれる味自慢の狭山茶。もちろん健康成分もいっぱい含まれています。
今回は、大妻女子大学名誉教授で「お茶大学」学長の大森正司先生に伺います。科学的分析や健康成分の研究、お茶の楽しみ方などお茶を研究して50年の大森先生。お茶博士に狭山茶の魅力をインタビューしました!

Q.全国にお茶の産地がありますが、狭山茶の良さとは?

A.お茶の産地の中でも、ここ入間市は北の端です。昔から「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」と言いますが、本当にその通りだと思います。味がしっかりしていて、パンチがあります。

Q.成分も違いますか?

A.はい、違います。テイスティングしたり、味覚センサーで計ってみたりしますが、同じ1番茶でも、南の端で3月中旬に収穫したものと北の端で収穫した5月の狭山茶では差があります。お茶の機能性成分には、アミノ酸、カテキン、カフェインなどがあります。中でも、カテキンの含有量は他の地域に比べて狭山茶は多いですね。

Q.カテキンにはどんな作用がありますか?

A.カテキンの特性は、吸着性と抗酸化性です。お茶を白い生地にこぼすと色が落ちません。吸着性が強い証拠です。口臭予防、殺菌などに役立ちます。 もうひとつは、抗酸化性です。最近の食生活では脂肪が多くなっています。これが体の中で消化されるときに脂肪酸とグリセリンになります。脂肪酸の中の不飽和脂肪酸が増えすぎると活性酸素が発生してがんなどになり細胞に対して悪さをします。体の中のチンピラみたいなものです。カテキンはがん化する最初の段階で消去してしまします。自分も酸化されて消えてしまうのです。カテキンは「清水次郎長」のように強気をくじき弱気を助ける、そんな物質だと私は思っています。 美貌のためにもお茶はいいんです。お茶殻をパックにしてお顔にぬって、しばらくしてから洗えば肌がしっとりしますよ。

狭山茶でおうち時間
新型コロナウイルス感染予防に効果ありと期待!

Q.お茶のうがいの効果は?

A.カテキンは微生物に対しての抗菌性があるんです。私たちは普段呼吸しているから、鼻やのどにウイルスがいっぱいつきます。しかし、お茶でうがいをすれば、カテキンにウイルスがくっついて、そのまま出してしまうので、ウイルス感染の予防になるんです。

Q.新型コロナウイルスにも感染予防の効果があるのでしょうか?

A.そう考えられます。風邪のウイルスに対しては、お茶に入っているカテキンが感染予防に効果があると実験で明らかになっています。風邪もコロナもウイルスですから同じように作用するだろうと思いますが、まだ実験をしていないのではっきりしたことは言えません。しかし、私は期待したいです。

Q.おススメの飲み方は?

A.自宅で過ごす今の時期に、ぜひ試してほしい飲み方があります。 ふつうのお茶を用意します。10gくらい急須にいれて、水を入れます。そのまま家族でおしゃべりをしながら待ちます。10分くらい経ったら、注ぎます。まだ、飲んではいけません。そして、その急須に今度は40〜50度のぬるま湯を注ぎます。1分くらい経ったら注ぎます。まだ飲みません。残りの茶殻に熱湯を注ぎます。1分経ったら注ぎます。そうすると、水出し・ぬるま湯出し・熱湯出しの3種類になります。これを少しずつ分けて飲むんです。子どもでも初めて飲むと味の違いに目を白黒させて驚くと思います。 水出しは、うまみを楽しめます。ぬるま湯で出すと、さわやかな渋みがあります。これはカテキンの味。熱湯で入れたお茶は、マイルドな苦み。これはカフェインの味です。甘・渋・苦の3種類を味わうことができます。そして、残った茶殻は捨てないでおかかやじゃこを入れて醤油をちょっとたらして食べる。今まで捨てていた茶殻もおいしく食べられます。 カテキンを摂りたければ、熱湯をお茶に注げばOK。 甘・渋・苦の 3つの味をいっぺんに楽しめますし、パンチのある味です。

Q.これからの夢は?

A.お茶は深いです。50年研究していますが、まだまだ研究材料はあります。お茶の良さ、素晴らしさをみなさんに分かりやすく示していきたいと思います。 いま日本のお茶は、世界から熱い注目を集めています。海外で「umami(うまみ)」という日本語が通じるほどです。日本のお茶を世界じゅうの人に飲んでもらって、みんなが笑顔で健康になることが夢です。そして、狭山火入れをした味のしっかりした狭山茶を、みなさんも日常茶飯事に飲んでいただきたいです。